『君と僕の夏休み』シナリオ プロローグ [背景:船+海][BGM:船が進む感じの^^] (夏輝)「暑い……」 日光が肌を刺すように降り注ぎ、甲板から照り返す熱光線までもが俺を襲う。 海上を吹き抜けるしょっぱい潮風が、少しだけ涼しいのがせめてもの救いだ。  まぁ潮風がしょっぱいのは当たり前だが。 しかし、それより問題なのが……。 夏輝「気持ちわりぃ……」 吐きそうだ……。 夏輝「あ〜……」 そういえば船酔いを直すには船に密着すると良い、って何かの本で見たことがある気がする。 船の揺れが直接伝わって余計ダメな気もするけど、物は試しだ。 それに起きていても辛いだけだしな。 夏輝「寝るか……」 甲板のベンチに寝転がり、目を閉じる。 [背景:黒] 夏輝「……………」 何で…こんなとこにいるんだろうな、俺。 [ここでOPムービー?] [背景:主人公の部屋] 極楽だ… クーラーの利いた部屋でポテチを食いながらエロゲーをする。 ちなみにポテチはピザポテト。 極楽だ…… 既に夏休みは半分ほど過ぎているけどそんなこと俺は気にしない。 今日もあと数時間で日付が変わるがそんなこと俺は気にしない。 辺りを見回すと部屋の中には脱いだ衣服が散乱し、ゴミ箱から出たポテチの袋がしょっぱい香りを放っているけどそんなことも俺は気にしない。 ……………。 ……き、気にしないもんね。 ……………。 鬱だ……。 ……………。 [SEガチャッとドアを開ける音] 父「おい夏輝」 夏輝「うおッ!?」 と、俺の部屋と2階の廊下を繋ぐドアが急に開き、そこから親父が顔だけ出す。 父「お、何だ新しいエロゲー買ったのか。今度父さんにも貸してくれよ」 夏輝「自分の息子にそんなこというか普通!? つうか急に入ってくんな!」 父「それといい加減…部屋の掃除しろよ」 夏輝「うっせ」 父「まぁそんなこと今はどうでもいいんだ、早く支度しろ。」 クソ親父が……。 ん? 支度? 夏輝「何の支度だよ」 父「昨日の夜に言っただろ?」 夏輝「聞いてない」 父「そうか、まぁ別にいい。ほら支度しろ」 よくねぇっつうの。 夏輝「だから何の支度だって」 父「美富島に行く支度だ。覚えてるか? お前が昔住んでた島だ」 夏輝「殆ど覚えてない。それに何で俺がその美富島とやらに行くんだ」 父「父さんたちが旅行に行くからだ」 夏輝「理由になってないぞ…ってか仕事はどうするんだ」 父「行きたくないのか?」 仕事の話題をスルーしやがった。 まあいい。いくら馬鹿親父でも仕事をクビになるようなことはしないだろう。 夏輝「別にそういうわけじゃない」 父「じゃあ早く支度しろ。もう迎えが来てるんだ」 夏輝「迎え?」 父「ああ、まだ言ってなかったな。紗耶ちゃん、覚えてるか?お前はあそこの民宿でお世話になることになってる」 紗耶……ってたしか三富島に住んでいたときの友達だ。 民宿……とは確か社屋の親が経営していた旅館だろう。たぶん。うろ覚えだけど。 父「で、那々志…紗耶ちゃんのお父さんが迎えにきてるんだ。」 夏輝「こっちがお世話になるんだから親父が俺を連れて行けばいいだろうが」 父「はっはっは、残念だったな。父さんは免許持ってないんだよ」 ダメ親父め……。 父「ってそんなことはいいから早く支度しろ。明日の朝の便に遅れたら一週間後まで船が来ないんだ」 夏輝「……………」 父「じゃあ支度終わったら言いに来いよ。」 夏輝「ん……わかった。」 …… ………… [背景:車内] ………… …… あの後、急いで支度をし、(と言ってもバックに水着と着替えを突っ込むだけ)家の外に待機していた紗耶の父親――那々志さんの車に乗り込んだ。 那「いやー大きくなったね夏輝くん」 夏輝「はぁ、どうも」 那「覚えてる? 三富島に居たときのこと」 夏輝「いえ、あまり……」 那「まぁ10年以上前のことだから仕方ないね。紗耶とか、ももちゃんとか、よく皆で遊んでたんだけどねぇ 」 夏輝「はあ……。あの、それで何で俺が三富島に行くんですか?」 那「いやー○○ちゃんに旅行に誘われちゃってさ」 どうやらウチの親が商店街の福引で当てた海外旅行に、小翠夫婦を誘ったということらしい。 ……一言も聞いてない。親父め。 ちなみに○○ちゃんというのは親父のアダ名だ。那々志さんとうちの親は小学校の頃からの親友らしい。 夏輝「……ん? つまり旅館では俺と紗耶で二人きりってことですか?」 那「まぁ、そういうことになるね」 夏輝「……いいんですか?」 那「もともと君を家に呼んで欲しいって言ったのは紗耶だしね。それにキミなら大丈夫だろう。あ、僕が言ったって紗耶に言っちゃだめだよ」 夏輝「はぁ……」 なんで俺を呼びたかったんだ?  ……まぁいいや、どうせ暇だとかそういう理由だろう。 那「着くまで寝てていいよ」 夏輝「あ、どうも」 まだ聞きたいことはあったけど、今は那々志さんの厚意に甘えるとしよう。 と、ここで目を閉じたのだ。 …………… [背景:黒] …………… ?「おい、ボーズ」 主「ん……?」 [背景:空] 船長「着いたぞボーズ」 重いまぶたをと小さな港が目に映った。 主「ん……あ、ども」 船長「おう。そんでおめぇ、この島に何しに来たんだ?」 主「ちょっと遊びに」 船長「ほぉ、こんなチンケな島にか。そんでおめぇどこに泊まる気だ?」 自分でチンケとか言うなよ……。 主「叙瑠樹(じょるじゅ)っていう旅館です」 船長「叙瑠樹ってったらおめぇ、今休業中だぜ?」 主「あ、はい分かってます。客としてじゃなくて、ちょっと昔の友達の親が経営してるんで」 船長「ん? おめぇ紗耶ちゃんの友達か?」 主「はい。10年くらい前に俺この島に住んでたんですよ」 さすが小さい島だけある。島中みんなご近所さんみたいなものなのだろう。 船長「…っつーワケはおめぇ夢縁さんとこの…」 船長……俺のこと覚えてるのか? まぁ10年前のことと言っても、こんな小さな島だから当たり前といえば当たり前な気もする。 何かを少し考えるような顔をした後、へへッ、と船長さんはイヤラシイ笑みを浮かべた。 船長「んじゃちょっと待ってな」 夏輝「あ、はい」 と、言うが早いか船長さんは船を降り、小走りでどこかへ行ってしまった。 船室から荷物を出し、船を降りて船長さんを待つ。 [背景:港] …………… そろそろ日射病になりそうだな…とかそんなことを考えていると、船長さんが何かを手に戻ってくる。 船長「ほら、今朝獲れたやつだ。もってけ」 と言い、白い発泡スチロールの箱を俺に手渡した。魚か何かその辺だろう。 定期便は副業で本業は漁師なのか、それとも知り合いの漁師に貰ってきたのか。まあどっちでもいい。 夏輝「ども。ありがとうございます」 船長「まぁ頑張れや。ボウズ」 夏輝「はい、ども。ありがとうございました」 船長さんに手を振り、那々志さんから貰った地図を頼りに歩き出した。 …………… [背景:道1][SE:蝉の声] …………… 両手に抱えている船長さんにもらった発泡スチロールの箱が重い。 しかも修学旅行に行くような鞄を担いでいるので肩に紐が食い込んで痛い。見えないし、見ようとも思わないが既にヒリヒリする肩は赤くなっているだろな。 ノドも乾いているが自動販売機なんていう気の利いたものはこんな田舎の離れ小島には見当たらない。かといって店で買おうにもコンビニ一つありゃしない。 まぁ、しょうがないか。 ん……? この炎天下の中で生ものは大丈夫なのか? 氷が入ってるか確かめるのも面倒だし、入っていなくてもどうすることも出来ないのでまぁいい。 …………… [背景:道2] …………… あつい…… 早くも汗が毛穴から染み出てきて、股や脇がぐちゃぐちゃで気持ち悪い。 上からの日差しは俺に降り注ぎ、半袖のTシャツからはみ出ている肌の部分を容赦なく焼いていく。 ……今日の風呂は地獄だな。 干乾びたミミズが道に何匹も転がっている。 いくら土の中が暑いといっても日光に熱せられたアスファルトよりは涼しいだろうに。 …………… [背景:道3] …………… ……日陰になっているとろにネコが寝転がっている …………… ……誰がうまいこと言えと。 …………… [背景:叙瑠樹の外観] ここか…… 中坊のときに旅行で行ったクソ古い旅館と同じくらい古そうだ。 呼び鈴なんていう気の利いたものは無いらしい。 とりあえず扉を叩いてみるか。 [SE:古い旅館の扉を叩くような感じの^^] ……………。 なんとなく人のいる気配はするものの、出てくる気配はしない。 もう一度叩いてみる。 [SE:古い旅館(ry ] …………… 勝手に入るか。 いや、それはまずいかも。 いやいや、出てこない方のが悪い。 [SE:扉を開ける音][SE:蝉の声止める][背景:旅館一階リビング] 主「誰かいませんか〜」 ……………。 もう一度言ってみるか。声が小さかったのかもしれないな 主「だーれーかーいーまーせーんーか〜」 ……………。 もういいや。勝手に入ろう。 綺麗に置いてあるスリッパを履いて中に上がり込み、俺の肩を散々苦しめた荷物と、船長さんにもらった発泡スチロール板張りの床に置く。 入ってすぐの所はリビングになっているらしく、10人は座れようかという大きなテーブルが置いてある。 やっぱり誰もいないのかな? 奥の方へ進んでみる。 リビングの端にはキッチンがあり、その横には廊下が続いている。 廊下の方へ進んでみる。 廊下には3つほど個部屋に続くであろう扉がある。 さらに奥には前の扉とは種類の違う扉がある。多分トイレと洗面所だ。 ここに…いるのか? かすかに水の音のする方の扉に近づく。風呂に入っているのだろう。 ここでこの扉を開ければ、きっと裸の紗耶がいて『イヤー変態ッ!』とか言って何か投げてくるか、パンチが飛んでくるか、キックが飛んでくるか。 ……よし、知らないで開けたことにして、とりあえず驚いたフリをして逃げてあとで謝ろう。 完璧だ。俺ってもしかして天才? それではちょいと拝見。 [SE:ガチャっと扉を開ける音] [背景:洗面所][立ち絵:バスタオル一枚の紗耶。驚いたような顔] 紗耶は俺に気づいて、驚いた顔をする。 紗耶「え……?」 夏輝「うほッ!」 紗耶「へ、変態ッッ!!」 夏輝「サーセンwwwwwwwフヒヒwww」 ダッシュ! …………… [背景:一階リビング][立ち絵:普段着の紗耶] …………… 数分後。俺は紗耶に捕まり、正座を強制させられていた。 ……興奮して変な声を上げてしまったが、ここまでは計画通りだ。 紗耶はよく見ると、とても整った顔立ちをしていた。 ショートカットに、タンクトップとショートパンツという格好がよく似合っていて可愛い。 スタイルも…よし。 胸は…小さめ。 ん…? タンクトップの胸の真ん中の部分が少しだけ出っ張っている。 ……ブラをしていないのか? ………………………………………………… ……………………………………………はっ 見とれてる場合では無い。さっさとさっきの事の弁解をしなくては。 夏輝「サーセン」 [SE:ドスッと床を踏み鳴らす音] 紗耶「……(ニコッ)」 夏輝「……………」 本気で怒ってやがる。 紗耶「……………」 夏輝「……すみませんでした。以後、このようなことの無いように気をつけます」 紗耶「分かればよろしい。ったく久しぶりに帰ってきたと思ったら、最悪。まぁ、もういいけどね。アンタの部屋は二階よ。荷物運んじゃえば?」 夏輝「お、おう。わかった」 夏輝「あ、そうだ。それ冷蔵庫に入れといたほうがいいと思うぞ」 紗耶「ん? なにこれ」 夏輝「私めの愛する貴女様へのプレゼントにございます」 紗耶「で、本当は?」 夏輝「定期便の船長さんにもらった」 俺が本当のことを言うと、紗耶は「そ」と軽く返事をし、発砲スチロールの箱を持ち上げた。 よし、今なら手は使えないから攻撃はできないはず。 夏輝「沙耶」   紗耶「…なによ?」 夏輝「いくら胸が小さいからって…ブラくらいしろよ」   紗耶「な…ッ!」 次の瞬間、スリッパが高速で飛んできて、顔面にヒット。第二撃から逃れるために、俺は階段を駆け上った。 …………… [背景:2階、自分の部屋] …………… ……ん。 んぁ? どうやらあの後、部屋に飛び込み荷物を放り投げ、布団に潜り込んで紗耶の攻撃に怯えてるうちに寝てしまったらしい。 上半身だけ起こして窓の外を見と、外は既に薄暗くなっており、夜、と呼んでもいいような時間になっていた。 ……………。 汗臭ッ! 俺の匂いだ……。 まぁあれだけ汗をかいたのだから、当たり前といえば当たり前だろう。 風呂入るか……。 着替えを持ち、部屋を出る。 おっ? いい匂いがする。 1階のリビングに急いで降りる。 [背景:1階リビング][立ち絵:紗耶エプロンバージョン^^] ……と、エプロンを付けた紗耶が台所で料理を作っていた。 結構さまになっているのが何故か悔しい。 階段を下りたところでボーっと紗耶を眺めていると、こちらに気付いて話しかけてくる。 紗耶「ちょうど良かった。そろそろ夕飯できるから起こしに行こうと思ってたのよ」 直後、鼻をヒクヒクさせ 紗耶「うーわっ汗臭! 先にシャワーしちゃってよ」 夏輝「今からするつもりだった」 紗耶「タオルある?」 夏輝「ん。大丈夫」 というか鼻を摘まれると流石に傷つく。 ……さっさとシャワー浴びよう。 [背景:黒] …………… [背景:1階リビング] 日焼けしてるのを忘れてて、思いきり背中を擦ってまった。 ヒリヒリする…… [立ち絵:紗耶] 紗耶「あ、ご飯できたわよ」 夏輝「おう」 どうやらさっきのことはもう怒ってないらしい。 テーブルには普通に旅館の夕食に出てきても、文句が言えないような料理が並んでいる。 特に目を惹くのが魚の刺身だ。 スーパーに売ってるものとは新鮮さが違うのが素人目にも分かる。 ん? ……もしかして。 夏輝「なぁ、これって」 紗耶「ん、アンタが船長さんに貰って来たやつ」 ……やっぱり。 イスに座ると、紗耶も向かいのイスに座る。 紗耶「いただきます」 夏輝「いただきます」 刺身を一口 こ…これは 脂がのっていて口の中でとろける この味は養殖物には出せまい……たぶん、きっと。 紗耶「どう?」 夏輝「美味い」 夏輝「お前って料理出来たんだな」 紗耶「見くびらないでよね。こちとら旅館の一人娘ですから」 と言い、自慢げに胸を張る 刺身に料理の腕はあまり関係ない気がするが、この際黙っておこう。それに料理が美味いのは多分本当だ。他の料理を見れば分かる 夏輝「ありがとな。俺のために作ってくれて」 [立ち絵:紗耶(照)] と言うと、紗耶は顔を赤くして。 紗耶「べ、別にアンタの為に作ったわけじゃないんだからっ。パ…お父さんとお母さんがちゃんとアンタの世話をちゃんとしないと、もうお小遣いもうくれないって言ったから仕方なくっ!」 夏輝「……………」 (文字の色を薄く)那々志「もともと君を家に呼んで欲しいって言ったのは紗耶だしね。それに…キミなら大丈夫だろう。あ、僕が言ったって紗耶に言っちゃだめだよ」 夏輝「…ふーん?」 紗耶「…なによ」 夏輝「いや〜別に〜?」 [立ち絵:紗耶(怒)][SE:机叩く音] 夏輝「いえ本当に何でもありませんスミマセンでしたハイ」 紗耶「本当?」 夏輝「ハイ本当です」 [立ち絵:紗耶] 紗耶「よろしい」 夏輝「(テーブル叩くなよ。醤油こぼれたじゃんか)」 [立ち絵:紗耶(笑)] 紗耶「な・に・か・言・っ・た・?」 夏輝「いえいえ何も言ってません本当です。超☆本当」 笑顔が怖い 紗耶「……………」 夏輝「……………」 …………… [背景:2階自分の部屋] …………… あの後、機嫌を悪くした紗耶を宥めるのが大変だった。 料理の方は予想通り刺身以外も美味かったから、明日の朝も期待できそうだ。 荷物…は鞄に入れっぱなしで大丈夫だな。 何だか体がだるい。まだ疲れが取れないのだろう。 電気を消し、布団にもぐりこむ。 [背景:黒] 夏輝「暑い……」 暑すぎて寝れない。 服を脱ぎ、鞄のある方向に放り投げる。 これなら寝れるだろう…… まぶたを閉じる。 やはりまだ寝足りなかったのだろう。俺は、すぐに夢の世界に引きずり込まれた。 …………… [ここで日にち表示] [背景:黒] ?「――き―、さい」 うるさい……俺はまだ眠いんだ…… 夏輝「夕方になったら起こしてくれ…」 紗耶「起きなさいッての!」 [SE:ドスッ! っとね] 直後、ドスッ! という音とともにお腹の辺りに痛みが走る。 夏輝「ってぇ!」 跳ね起きる [画面を1,2回揺らす][背景:1階自分の部屋][立ち絵:紗耶(照)] 紗耶「きゃっ!?」 紗耶「あ、あんた何て格好して寝てるのよ!」 夏輝「おっ?」 自分の体を見ると、パンツ一丁だった。昨日寝る前に暑かったので全部脱いだからだ。 夏輝「いや、暑かったから」 紗耶「あ、朝ごはん出来たから服着たら降りてきなさい!」 それだけ言うと紗耶はドスドスと足音をたてながら、部屋を出て行ってしまう。 夏輝「……………」 服を着て1階に下りる。 [背景:1階リビング][立ち絵:紗耶] テーブルの上には昨日の夕飯に勝るとも劣らない朝食が、これでもか、というくらい乗っていた。 夏輝「お前……作りすぎだろ……常識的に考えて……」 紗耶「そう? でも男の子なんだからこれくらい食べなきゃだめよ?」 夏輝「さいですか……」 紗耶「いただきます」 夏輝「い…ただきます…」 [背景:黒] …………… [背景:一階リビング] …………… 夏輝「うへぇ……」 何とか全部食べられたは良いが、吐きそうだ。今走り回ったりしたら、絶対吐く自信がある。 紗耶「ほら、変な声出してないでさっさと支度しなさい」 支度……? 夏輝「何の……、支度だよ……?」 紗耶「何の……って、昨日の夜に言ったでしょ? ……もしかして聞いてなかった?」 夏輝「ごめんなさい。もう一度説明お願いできますか?」 紗耶「全く、しょうがないんだから……。」 と、紗耶は不機嫌になると思いきや嬉しそうな顔で説明をした。 [背景:旅館の外観][立ち絵:紗耶] どうやら、この島のことを殆ど覚えていないであろう俺を案内する、ということらしい。 夏輝「ってか腹苦しいし暑いんで夕方になってからにしてくれません?」 紗耶「だめ。夜になっちゃうでしょ?」 夏輝「別に俺は気にしない」 [立ち絵:紗耶怒] 紗耶「私が気にするのっ」 夏輝「わかった。じゃあ俺が吐きそうになったら口を開けてもらおうか」 夏輝「わかったわ」 [立ち絵:紗耶呆] 夏輝「吐きそうだ。口を開けな」 夏輝「あ〜ん」 夏輝「ゲロゲロゲロ〜〜〜」 紗耶「……………」 夏輝「……………」 [各出会いへ]